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第1回カーボン・オフセット大賞エントリー事例
東北夏祭りカーボン・オフセット

応募団体:東北夏祭りネットワーク

1.応募する活動の名称・タイトル
東北夏祭りカーボン・オフセット
~青森ねぶた祭・盛岡さんさ踊り・仙台七夕まつり・山形花笠まつり・福島わらじまつり・他6の夏祭り~


2.活動の概要
<オフセットの分類>
会議・イベント開催オフセット

<排出量の事前認識・・算定>
 東北各地の夏祭りの振興を通した地域活性化を目的として2010年2月に結成された東北夏祭りネットワークが連携し、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県(以下、東北6県と言う。)の11の夏祭り(青森ねぶた祭、黒石よされ、五所川原立佞武多、大湊ネブタ、田名部まつり、盛岡さんさ踊り、仙台七夕まつり、七夕絵どうろうまつり、山形花笠まつり、新庄まつり、福島わらじまつり)で以下の項目についてカーボン・オフセットしました。
・イベント開催における、照明の電力使用量
・イベント開催における、照明および音響用の燃料使用量

 これらにより発生した温室効果ガス29トンを東北6県の7社の国内クレジットでカーボン・オフセットしました。算定方法は、「あんしんプロバイダー制度参加者」であるカーボンフリーコンサルティング株式会社の指導のもと環境省の算定ガイドラインを用いました。
 排出量は、イルミネーション・ちょうちんでの電力使用量の他、イベントでの照明、音響や山車(だし)内部からの照明用発電機の燃料消費量(軽油、ガソリン)を把握したため、その大半を把握できました。

<オフセット対象範囲・・バウンダリ>
 算定範囲と同じく、イベント開催における照明の電力使用量、照明および音響の燃料使用量を対象としました。

<排出削減努力の実施>
 3月11日の東日本大震災の影響により、東北地域は大きな被害を受けました。さらに、この影響による発電所被災や原子力発電所の停止により計画停電が現実味を帯びて、東北6県の多くの夏祭りで中止の意見も聞かれました。しかし、夏祭りは、地域の結び付きの再確認や、東北が復興へ向かう姿を地域外へ発信する大きな意味合いがあり、主催者や地元関係者の努力と、多くの苦労を乗り越えて37の夏祭りが開催されました。
 また、従来、夏祭りでは地元行政と連携しながら、開催時に発生するゴミの削減や分別によるリサイクル活動、公共交通機関の利用促進等に取組んでおりましたが、特に本年は、電力供給量の大幅減少もあり開催期間の短縮や照明規模の縮小を実施しました。各祭りでの排出削減努力は下表のとおりです。

表1 各祭りでの排出削減努力
県名祭り排出削減努力
青森県青森ねぶた祭各山車の管理は参加企業・団体がしており、従来から無駄な燃料使用の抑制による排出削減努力をしていると思われます。
黒石よされ終了時間を1時間半短縮し、排出削減努力をしました。
五所川原立佞武多山車に使う照明をLED電球に変更し、排出削減努力をしました。
大湊ネブタ不必要な照明の削減や、順次照明の省エネ化(LED化)による削減努力をしております。
田名部まつり
岩手県盛岡さんさ踊り昼のイベントを市内の会館で行っておりますが、空調の設定温度を2℃から3℃引き上げました。また会場およびステージの照明を可能な限り削減し、排出削減努力をしました。
宮城県仙台七夕まつり夜間のイベントを中止したり、不必要な照明を削減することで、排出削減努力をしました。
秋田県七夕絵どうろうまつり開会期間中の終了時刻から1時間のアーケード(露店)照明を30分に短縮し、排出削減努力をしました。
山形県山形花笠まつり照明の期間や時間を短縮したり、イルミネーション個数を10万から1万へ削減し、排出削減努力をしました。
新庄まつり開会期間中の終了時刻から4時間の2時間に短縮し、排出削減努力をしました。
福島県福島わらじまつり例年2日開催を本年は1日のみの開催としました。また一部ですが提灯の照明を電球かLED電球に変更し、排出削減努力をしました。
(国内クレジット制度東北地域推進協議会 事務局 調べ)


<取組の実施期間>
 対象となる祭りの実記期間は平成23年8月1日~8月26日の26日間と約1ヶ月でした。これにより東北地域の祭り参加者1,171.6万人とカーボン・オフセットを実施することが出来ました。
 各祭りの実施期間は下表のとおりであり最長で「黒石よされ」の7日間、最短で「福島わらじ」の1日で、平均3.7日間でした。各祭りの実施期間および参加者等は下表のとおりでした。

表2 各祭りの実施期間
県名祭り管轄域内商工会議所実施期間参加者(人)排出量(トン)
青森県青森ねぶた祭青森商工会議所8月2日~7日291万13
黒石よされ黒石商工会議所8月14日~20日90万2
五所川原立佞武多五所川原商工会議所8月4日~8日174万2
大湊ネブタむつ商工会議所8月5日~7日2万2
田名部まつり8月18日~20日99万1
岩手県盛岡さんさ踊り盛岡商工会議所8月1日~4日136.1万2
宮城県仙台七夕まつり仙台商工会議所8月6日~8日203万1
秋田県七夕絵どうろうまつり湯沢商工会議所8月5日~7日19.5万1
山形県山形花笠まつり山形商工会議所8月5日~7日91万2
新庄まつり新庄商工会議所8月24日~26日43万2
福島県福島わらじまつり福島商工会議所8月6日23万1


<クレジットの種類>
使用したクレジットは、東北6県の7企業の「国内クレジット」を使用しました。国内クレジットを選択した理由は、地産地消が可能なクレジットであり、国内クレジットを活用することで、被災した中小企業への支援の一部となることを目指したためです。使用したクレジットの内訳は下表のとおりでした。

表3 使用した国内クレジットの内訳
県名排出削減事業者識別番号使用量(トン)
青森県有限会社かっぱ温泉00450-2~00450-1110
太子食品工業株式会社00403-3001~403-301010
岩手県株式会社アマタケ00134-16~00134-172
宮城県有限会社トミーランドリー00383-1811
秋田県有限会社大都00215-391
山形県株式会社小野寺ドライクリーニング工場00645-1~00645-44
福島県株式会社ホテル森の湯00532-841
合計--29

 
<プロジェクト名称>
使用したクレジットの温室効果ガス削減プロジェクトは下表のとおりでした。中小企業による木質ペレット・チップボイラーでの温室効果ガス排出削減事業が4件、都市ガスボイラーでの削減事業が2件、ヒートポンプでの削減事業が1件でした。これらを使用することで「地産地消」を実現しました。

表4 使用した国内クレジットの温室効果ガス削減プロジェクト
県名受付番号排出削減事業者温室効果ガス削減プロジェクトの概要
青森県450有限会社かっぱ温泉温泉施設におけるボイラー更新(灯油→木質チップボイラー)
403太子食品工業株式会社食品工場におけるボイラー更新(重油→木質チップボイラー)
岩手県134株式会社アマタケ養鶏農場におけるボイラー更新(重油→木質チップボイラー)
宮城県383有限会社トミーランドリークリーニング工場におけるボイラー更新(重油→都市ガス)
秋田県215有限会社大都遊戯施設におけるボイラー更新(灯油→木質ペレットボイラー)
山形県645株式会社小野寺ドライクリーニング゙工場クリーニング工場におけるボイラー更新(重油→都市ガス)
福島県532株式会社ホテル森の湯温泉施設におけるヒートポンプ導入による給湯設備の更新(LP→電気)


<無効化に関する状況>
 償却は、「カーボンフリーコンサルティング株式会社」(あんしんプロバイダー制度参加企業)および「株式会社FTカーボン」により平成23年11月15日に実施済みです。また、東北復興支援の意味合いから、これらの国内クレジットはこの2社から無償提供して頂きました。

<情報サイト>
取組みの掲載サイトは以下の6サイトです。(国内クレジット制度東北地域推進協議会 事務局 調べ)
①東北緑化環境保全株式会社:国内クレジット東北地域推進協議会
②東北夏祭りネットワーク:新着情報
③株式会社カーボンフリーコンサルティング:実績紹介
④環境ビジネス:ニュース
⑤日本商工会議所:トレンドボックス
⑥東北経済産業局:新着情報

3.CO2排出削減努力とカーボン・オフセットの内容(1)削減努力について
 祭りの開催期間短縮やイルミネーションの規模縮小など、それぞれ独自の温室効果ガス削減努力を実施しました。

(2)大事にしたポイント
「きめ細かな説明」、「簡単に参加するための支援」、「中小企業PR」、「継続性」および「わかりやすさ」の5ポイントです。

① きめ細かな説明
 各祭りへのカーボン・オフセットの概念や実施方法の説明は、電話や資料を活用しましたが、大半は国内クレジット推進協議会事務局が主催者に出向いて説明しました。説明の実施箇所は以下の7箇所であり、複数回訪問した箇所もありました。
実施箇所:仙台商工会議所、社団法人五所川原市観光協会、弘前商工会議所、盛岡商工会議所、社団法人青森観光コンベンション協会、山形商工会議所、福島商工会議所


② 簡単な取組みとする工夫
 多くの団体に参加して頂くため、参加者の手間を軽減する必要がありました。そのため独自の入力シートを作成したり、燃料使用量を把握するために地元NPOと連携して使用量を把握しました。

独自の入力シートの作成
 簡単に照明の電力使用量を把握するため、独自の入力シートを作成し、メールによるシート配信および入力シートの回収をしました。シートは「電気」と「燃料」に分かれており、「電気」は開催日、照明時間、個数および容量を入力すると自動的にオフセット量が算出され、「燃料」は燃料種、使用量および換算係数を入力すると自動算出されるものとしました。なお、電力消費時間はホームページにより、燃料使用量は報告シートを作成し地元NPOが回収することで確認しました。

③ 中小企業のPR
 カーボン・オフセットの償却に利用した中小企業名をプレスリリースやホームページ等に掲載することで、これらの企業の環境面での付加価値を高める工夫をしました。これは今後の国内クレジットに参加する中小企業を増やすという狙いもありました。

④ 継続性
 カーボン・オフセットの意義や取組を市民や企業へ波及させるためには、取組みを持続させることが重要です。またカーボン・オフセットは、CO2排出量の埋め合わせという意味合いの他、エネルギー使用を考えるきっかけともなります。そのため、今後の地元推進力として地元の環境やまちづくりに関心の高い地元NPOが担えると考えました。
そのため青森ねぶた祭では、地元NPOと連携し、主催者に対してカーボン・オフセットの趣旨説明し、協力を得て参加事業者への説明やデータ回収を行いました。
 今後、外部支援者がいなくとも夏祭りのカーボン・オフセットが継続される仕組みづくりをしました。また夏祭り以外のイベントや商品でのカーボン・オフセットにも拡大することを期待しております。来年度以降はさらに多くの地元NPOと連携して夏祭りのカーボン・オフセットを実施する予定です。特定非営利活動法人 ソーシャル・キャピタル・サービス青森 

⑤ わかりやすさ
 電気は、消せば消え、同時にCO2排出量が削減されるという「見た目でのわかりやさ」があります。東日本大震災に起因する節電ムードや、わかりやすさから電気を中心とした取組みに絞ることでカーボン・オフセットに参加する団体を増やすことや、理解の得やすさを狙いました。

(3)事業の今後の方向性
 平成24年は参加団体を増やし、平成25年以降は参加団体の増加とともに廃棄物関連や運輸関連等の対象範囲を拡大する予定です。また、これまでに国内クレジット東北地域推進協議会では、平成23年1月と平成23年12月に環境と観光を意識したワーキングを開催し、仙台商工会議所(夏祭りネットワーク事務局)も参加しました。今後は、夏祭りのカーボン・オフセットの実施の他、旅行商品の開発を検討しております。

① 平成24年
 この取組みを持続させ、参加団体を増やすことを目的に対象となる活動の範囲や手法は変えず、早めのアナウンスとPRを実施する予定です。

② 平成25年以降
 平成25年からは、平成24年の実績を踏まえ、電力消費以外の廃棄物関係や運輸関連等にも範囲を拡大する予定です。

4.CO2排出削減以外の効果(1)観光振興
 全国初の、東北6県の11の夏祭りという「広域・複数参加」での夏祭りをカーボン・オフセットすることと、東北6県の国内クレジットを利用するという「地産地消型」であることから新聞6紙に取り上げて頂き、被災地である東北6県で夏祭りが開催することが情報発信され、誘客に貢献できました。

(2)中小企業支援
 東北6県の中小企業は多少なりとも東日本大震災の影響により経済的な影響を受けました。そういった中でマスコミ、ホームページや展示会で、国内クレジットの償却に利用した中小企業名を掲載することで、環境に取り込む中小企業としての価値向上に寄与できました。これらのうちの幾つかの企業へはマスコミより問い合わせがありました。

(3)カーボン・オフセット環境の基礎づくり
 東北6県は自然や歴史建造物などの観光資源に恵まれ、さらに観光産業が発展する可能性を秘めています。ヨーロッパでは観光とカーボン・オフセットを活用した事例が多く、将来的に東北6県でも取組むことが望まれております。
震災の影響でこの取組みは遅れましたが、今回の夏祭りカーボン・オフセットは、夏祭り以外の地域祭りやイベントでの拡大化や、旅行商品やお土産への多様化に向けての基礎作りとなりました。
 
5.普及啓発の効果(1)情報発信方法
市民や社会に対しての情報発信方法は以下のとおりです。
専用ホームページへの掲載
 この中でカーボン・オフセット前、償却後、エコプロダクツ2011への展示と計3回の更新により情報発信しました。専用ホームページへ

プレスリリース
 平成23年7月および11月にプレスリリースを作成し、東北6県の記者クラブの計51社へ投げ込みました。
 また、平成23年12月に開催され14万人の来訪者があったエコプロダクツ2011に全国の代表事例の1つとして展示されました。カーボン・オフセットとともに東北6県の祭りを紹介することで観光振興、中小企業の省エネ努力を紹介できました。

(2)情報発信の効果
 新聞への掲載回数は6回で、掲載紙は以下のとおりです。(国内クレジット制度東北地域推進協議会 事務局 調べ)
日本経済新聞(7月14日)、東奥日報(7月15日)、日経産業新聞(7月20日)、日刊工業新聞(7月29日)、東奥日報(11月23日)、福島民報(11月23日)

 
6.ストーリー性
 東日本大震災で被災した東北6県の祭りのカーボン・オフセットを、東北6県の中小企業によるCO2削減努力により「地産地消型で大規模」に実施することで、東北6県が復興に向かって元気に活動する様子が全国へ発信できました。
これらの11の夏祭りには1,171.6万人が参加し、1ヶ月という期間でマスコミ等を通じてカーボン・オフセットをアピールできました。
 またカーボン・オフセットの参加祭りを増やすための、きめ細かな訪問説明、専用データシートの作成と利用、持続性や今後の拡大化や多様化を考慮して環境やまちづくりに関心のある地元NPOとの連携などを工夫して実施しました。
今回の取組みにより、カーボン・オフセットの認知度向上、東北6県の復興PR、地元中小企業の振興や一部支援、観光面での環境負荷価値の向上ができました。今後もカーボン・オフセットを継続・拡大・多様化することで地域振興に寄与致します。






CO-Net事務局

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