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第1回カーボン・オフセット大賞エントリー事例
きこりんとProject EARTH ~植林によるカーボン・オフセット~

応募団体:住友林業株式会社

1.応募する活動の名称・タイトル
きこりんとProject EARTH ~植林によるカーボン・オフセット~
2.活動の概要
<オフセットの分類>
特定者間完結型オフセット


<排出量の事前認識・・算定>
 当社は2006年度より、事業活動全体の環境負荷の把握を目的にライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment : LCA)に取り組んでおり、東京農工大学の協力のもと、原材料調達、製造、輸送、販売、使用、再利用、廃棄まですべての段階で調査を行っている。
 住宅建築時におけるLCAにおけるCO2排出削減努力においては、建築時は施工側で取り組み、使用時(居住中)および廃棄時は顧客と共に取り組むという認識のもと、本カーボン・オフセットの取り組みでは、当社戸建住宅の主要構造材(柱、梁、構造用合板など)の伐採、加工・運搬、施工にかかわるCO2排出量を対象とした。
 当社住宅1棟あたりの主要構造材利用に伴うCO2排出量は約6ton-CO2であり、当社は年間約1万棟の住宅を建築しているため、年間で約60,000ton-CO2のCO2を排出している。当面、2009年から5年間の引渡し済み戸建住宅を対象としてオフセットする。
 算定する際の住宅は、当社顧客の平均的な延べ床面積147m2/棟を建築した場合とし、当社の社有林管理に基づく実績データ、主要取引先への聞き取り調査、新築住宅施工時の燃料消費データ調査に基づき、東京農工大学服部研究室の協力のもとCO2排出量を算出した。


<オフセット対象範囲・・バウンダリ>
 算定範囲と同じである(住友林業㈱の戸建住宅を対象とし、一棟あたりの主要構造材の伐採、加工・運搬、施工にかかわるCO2排出量約6ton/棟、年間60,000t)。


<排出削減努力の実施>インドネシアの植林によるカーボン・オフセット(本プロジェクト)
 年間約1万棟を建築している当社戸建住宅の主要構造材(柱、梁、構造用合板など)の伐採、加工・運搬、施工にかかわるCO2排出量を対象にインドネシアで植林することによりオフセットする取り組みを開始。
a.実施スキーム
1年分の排出量である6万ton-CO2/yrのCO2を植林・育林活動でオフセットする場合、300haの植林面積に約30万本の植林を必要とし、植林後10年間かけて育林を行うことで必要なCO2を吸収・固定する。なお、1棟当たりに必要な植林面積は、当社の平均的な戸建住宅の延べ床面積(147㎡/棟)の2倍となる。

  
b.植林地
①環境植林:ブロモトゥングルスメル国立公園(伐採は行わず、荒廃地回復を目的とする)
②住民協働型植林:スメル山麓周辺(持続可能な森づくりを地域住民と共に実施)

 
植林によるカーボン・オフセット以外で、戸建住宅部門のCO2削減に関する取り組み
国産材を活用することによる移動に伴うCO2排出量の低減
 当社は主要構造材の国産材比率を高める取組を実施している。北海道地区では主要構造材への国産材利用率100%を実現しました。国産材の集成材は外材のものと比べると、移動に伴うCO2排出量を1m3あたり約200kg-CO2削減できる。

高い省エネルギー基準を設定
 住宅のエネルギー使用量の削減に向け、国により省エネルギー基準が定められているが、当社は2005年度から、「次世代省エネルギー基準※」に対応した住宅の仕様を標準採用している。住宅性能表示制度においても、当社住宅は省エネルギー対策の最高等級「4」を標準設定としている。
※ 「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準」
(平成18年経済産業省・国土交通省告示第3号)および「同設計、施工及び維持保全の指針」(平成18年国土交通省告示第378号)

居住中のCO2を削減する取り組み
 「住友林業の家」は、高い断熱・気密性能を基本とし、自然のエネルギーを活用する「涼温房」の設計手法を家づくりに採用し、日本の伝統、先人の暮らしの知恵を活かした家づくり、冷暖房設備に過度に頼ることのない住まい方を提案している。「涼温房」とは、自然の恵みを利用し、夏の暑さを和らげ涼しさを呼び込む「風の設計」、冬の寒さをしのぎ温もりをつくり出す「太陽の設計」、それらを補完するために庭の植栽を活用する「緑の設計」を施すことにより、快適な省エネ生活を実現する設計手法である。
 また、ホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)を活用し、居住時の電力使用量を低減することに繋がる商品「Smart NAVI」発売するなど、居住中のCO2を削減する取組みを推進している。


<取組の実施期間>
 オフセット実施期間:2009年4月~2024年3月(14年間)
 植林事業は合計1,500haの植林を5年間にわたり実施する(300ha/yr)。その後、10年間の育林期間を経て吸収量がオフセットに必要な量に達する。5年目の植林の育林期間が終了するのは事業開始後14年目となる。

 植林は環境植林(ブロモ・トゥングル・スメル国立公園:生態系再生、生物多様性、水源涵養、土砂流出防止等が主目的)、住民協働型植林(スメル山麓:木材製品用の原材料調達が主目的)に分けており、住民協働型植林は伐採した後も再植林を繰り返すことで、森林を維持し、環境植林と一緒に永続的に森林を維持する計画である。


<クレジットの種類>
 本オフセットスキームは、「生きた木」の形で長期的なCO2吸収と固定を図るものであり、クレジットを介していない(特定者間完結型オフセット)。吸収量は当社のこれまでの知見をふまえ、事前に算定した上で計画を立てている。また、住民協働型植林では、伐採後すぐに再植林を行う持続可能な森林経営を行うこととしている。
 1年分の排出量である60,000t-CO2/yrのCO2を10年間の植林・育林活動でオフセットする場合、300haの植林面積が必要になり、2009年から2014年の間で年間300haずつ、年間約30万本の植林を行う。吸収量は、植林木が計測可能な大きさになった時点(5年後の2014年頃)から計測し、吸収量の第三者認証を取得する計画としている。具体的には、VCS(Verified Carbon Standard)などを検討中(研究中)である。


<プロジェクト名称>
きこりんとProject EARTH ~植林によるカーボンオフセット~

<無効化に関する状況>
 クレジットを使用しない特定者間完結型の事業であり、無効化の対象ではない。しかし、植林・育林の状況は常にモニタリングし、情報発信を行っている。植林木が成長し、計測可能な大きさになるころ(5年後の2014年頃)に吸収量を計測する。本植林活動による吸収量を他のオフセットには使用しないため、ダブルカウントは生じない。また、今後VCS等の第三者認証を取得し、信頼性を高めることを計画している。


<情報サイト>
株主のみなさまへ
数字でみるプロジェクトアース
きこりんと、Project EARTH
顧客向けの進捗公開サイト


3.CO2排出削減努力とカーボン・オフセットの内容植林地として荒廃地を選定
 植林地は荒廃地や耕作放棄地などの荒地を選定している。植林を行う環境として適さない場合もあるが、植林により荒地を「森」に戻すことを念頭に植林地を選定している。
 現在植林を実施している国は、インドネシア共和国である。同国は世界第3位の熱帯林面積を有し、気候変動、生物多様性の観点からも、その保全と回復の重要性が国際的に注目されている。また、同国は熱帯気候であり、日本よりも効率的にCO2を吸収・固定することができる。

活動を長期的に行い地域の人たちの生活水準の向上(貧困対策)を図る
 植林という長期に渡る活動を継続するためには、地域住民との連携は欠かせないものである。特に、住民協働型植林(産業植林)は、地域住民の理解を得ながら行う必要があり、地域との連携を高める仕組みづくりが重要となる。
 具体的には、伐採植林木の丸太の収益は地域住民とプロジェクト間で分収することとしている。また、プロジェクト側で受け取る分収金は再植林費用に充当することとしており、本プロジェクトを実施することで持続的な森林管理が実施される仕組みとしている。 つまり、本プロジェクトを実施することで持続可能な森林管理が当該地域に根付き、参加する住民、引いてはその地域全体の生活水準が向上していく仕組みとしている。


図 住民協働型植林(産業植林)のおける分収金の循環スキーム


生物多様性への配慮
 植林を実施することで、生物にどのような影響があるかを測ることとしており、環境植林地では定期的に昆虫、鳥類、哺乳類の調査を実施することとしている。 2009年に調査を実施したところ、ジャワヒョウが確認され、生物多様性上も重要な生態系であることが示唆された。

 現在は植林を開始して3年目となっており、当面は植林と育林作業を着実に実施し、生存率を高めるように努めている。

4.CO2排出削減以外の効果
現在および今後期待される効果

  1. 雇用創出:延べ50,000人・日 (今後の推定値を含む)

  2. 生物多様性維持・保全:植林対象地は、荒廃地、耕作放棄地としており、植林を実施することで生物多様性の向上などが期待できる。

  3. 環境改善効果:植林対象地は、荒廃地、耕作放棄地としており、植林を実施することで土壌流亡の防止、水源涵養機能の向上などが期待できる。

  4. 地域への貢献:植林活動を実施することで、雇用が生まれ、貴重な現金収入を地域にもたらし、生活水準の向上に貢献する。また、住民協働型植林においては、伐採植林木の丸太の収益は地域住民とプロジェクト間で分収することとして、持続的な森づくりをこの活動を通じて実施することで、地域全体の生活が向上していく仕組みとしている。また、プロジェクト側が受け取る分収金は再植林費用と共に地域の教育支援(教育品の支援、校舎の補修)にも活用することとしている。


5.普及啓発の効果
  1. TVCMの作成


     上記TVCMを制作し、映像は当社グループ各拠点(約360拠点)、モデルルームにて継続的に流している。

  2. ポスター・ステッカーの制作

     上記、ポスター及びステッカーを制作し、当社グループ全拠点(約360拠点)で掲示。社外だけでなく、社内の啓発にも努めている。

  3. 社内でプロジェクトアース普及のノベルティ、手帳サイズの説明資料配布

     社員の環境意識向上、及びプロジェクトアースの取組の浸透および営業活動での効果的な活用を図るために、全当社グループ社員にノベルティ(マグネット)を配布した。また、社員が常に持ち運べるように手帳に収まるオフセットの取組説明資料を配布し、ステークホルダーに対していつでも説明をできるようにしている。


6.ストーリー性
 住宅建設業各社は、居住時のCO2排出削減のため各種の家庭用省エネ機器(太陽光発電、太陽熱給湯、ガス高効率給湯器、ヒートポンプ利用の電気給湯器、LED照明、燃料電池等々)を導入し、CO2排出削減に努力している。当社においても上記省エネ、創エネ機器の導入の他、自然エネルギーによりエネを目指す「涼温房」を取り入れた設計を行っているが、当社独自のCO2削減対策を検討してきた。
 前述のような状況を背景とし、当社の国内外の川上~川下までの総合力を活かした見地から、戸建住宅の主要構造材の伐採~運搬~加工~住宅建設までの工程で排出されるCO2を開発途上国での植林によって吸収するカーボン・オフセット活動を行うことを決定した。
 実施活動計画を策定するに当たっては、活動を長期的に行うことを前提としており、これまで「木」を根幹とする事業を国内外で展開してきた当社グループの特徴を活かした活動となっている。
具体的には次の特徴が挙げられる。

  1. 一度空気中に排出されたCO2を植林により吸収・固定する取り組みである。

  2. 顧客の家づくりと明確にリンクした活動。つまり当社の事業と直接的に関係した活動である。

  3. インドネシア共和国は生物多様性、気候変動の観点からも世界的に重要な地域であり、その地域の荒廃地および耕作放棄地を植林対象とし、新たな森をつくる活動である。

  4. 植林活動を行うことで、植林地周辺の地域に雇用、現金収入が生まれ、生活水準の向上(貧困対策)に繋がる。
    また、本活動はカーボン・オフセットを目的とした取り組みであるが、長期的に取り組むことで、地域経済に大きく貢献する活動となっている。また、企業ブランディングの一環として、マスコミュニケーション媒体を活用した広告宣伝及び顧客向けの情報開示を積極的に行っている。






CO-Net事務局

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