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第1回カーボン・オフセット大賞エントリー事例
ITOKI スピーナ カーボン・オフセット プロジェクト

応募団体:株式会社 イトーキ

1.応募する活動の名称・タイトル
ITOKI スピーナ カーボン・オフセット プロジェクト



 フラッグシップチェアであるスピーナシリーズ全機種のライフサイクル全体から排出される温室効果ガス(GHG)排出量の全量をオフセットしている。200点を超える部品点数の多い耐久消費財をオフセットすることは算定が非常に複雑であったが、製品のライフサイクルにおいて発生するGHG排出量を正確に把握し、全量をオフセットすることによって、カーボン・オフセットの理解普及に一役担いたいと考え、本プロジェクトを推進している。さらに、信頼性・透明性を高めるためにタスクチェアでは初めてのカーボン・オフセット認証を取得し、環境省2010年度カーボン・オフセットモデル事業に採択された。
 また、スピーナチェアはグッドデザイン賞金賞(2007)、NeoConイノベーションアワード(2009、世界最大の米国家具見本市)受賞の経歴があり、デザインや機能性の面においても高い評価を得ており、洞爺湖サミット国際会議(2008)などの国際会議でも採用されるなど、注目度も極めて高いものがある。
 スピーナチェアをカーボン・オフセットするにあたり、開発途上国で創出されたCERをクレジットとして用いることで、地球温暖化対策への貢献に加え、国際援助にも貢献しているプロジェクトである。


2.活動の概要
<オフセットの分類>
商品使用・サービス利用オフセット

<排出量の事前認識・・算定>
Spinaチェア全シリーズ(32種類)についてLCAを実施。排出量は1脚あたり74.3kgCO2eから150.9kgCO2eである。

<オフセット対象範囲・・バウンダリ>
 最小販売単位(本体、取扱説明書および梱包材1セット)のライフサイクル全体(原材料調達-生産-流通-廃棄・リサイクル)を算定対象とし、オフセット比率100%の状態でお客さまに届けられるように、算定範囲全体をオフセット対象とした。200点を超える部品点数の多いスピーナチェアのライフサイクル全体をオフセットするためには、下図のように数多くのプロセスについてデータを収集しなければいけない。各パーツの重量の計測や自社工場のエネルギーデータ収集は勿論のこと、サプライチェーン全体を把握し、各拠点間の輸送距離や各加工メーカーにおける製造時のGHG排出量を考慮する必要があり、データ収集や計算に膨大な時間を要した。
 スピーナチェアの全仕様を対象とし、32種類全てのタイプのスピーナチェアに対して個別のGHG排出量の算定し、公表している。
 なお、特注品及びオプションパーツは除き、ラベルの製造にかかわるGHG排出量等、全体排出量の5%以内(微量)となる排出源は算定対象外とした。

<排出削減努力の実施>
 イトーキは、工場、物流センター、オフィス拠点を含む全社でISO14001認証を取得し、資材の調達から販売、使用済み製品のリサイクルまで、全ての段階でCO2の排出量削減に努めている。資材の調達ではイトーキグリーン調達認定企業 ※より優先的に購入し、連携をとりながら梱包や輸送におけるCO2排出量の削減に取り組んでいる。
 チェアを製造するイトーキ滋賀工場では、エネルギー管理員を中心とした省エネ推進組織による組織的なエネルギーの監視と運用改善を行っている。具体的な施策としては、エネルギー使用状況をリアルタイムに把握できる「エネルギー監視システム」の利用による運用改善や、高効率の設備への更新によるエネルギー効率の向上、定期的な省エネチェックの実施などがある。また、排出される産業廃棄物はリサイクル率100%(ゼロエミッション)を達成しており、廃棄物の埋め立て・最終処分量の削減にも貢献している。
 スピーナチェアは、製品設計段階でもチェアの背面と座面に独自の技術(フロート・ベンディング)を適用することで、使用するウレタン樹脂の量を減らしながらチェアの快適な座り心地を実現している。(背面にウレタン樹脂を使わない仕様では座面のみに適用)。

※イトーキグリーン調達認定企業について
 環境負荷の低い資材や部品を調達するため、2001年に独自の「グリーン調達基準」を制定。この基準の中で環境保全に対する方針や目標、これを達成するための計画、法規制の順守、指定化学物質等の取扱いに関する情報提供(MSDS制度)、活動の記録化などについて定めている。2002年より、基準を満たした取引先(調達先、仕入先)より資材、商品調達および輸送委託を優先的に行うとともに、グリーン調達率目標を設定して調達率の向上を目指している。


<取組の実施期間>
第1期(以下①) 2011年1月1日から2011年11月30日までの出荷分、および11月30日時点での在庫分
第2期(以下②) 2011年12月1日から2012年11月30日までの製造分

<クレジットの種類>
①②共にCER

<プロジェクト名称>
①インド・タミルナードゥ州における風力発電プロジェクト(プロジェクト番号0991)
②インド・カルナタカ州NSL27.65MW風力発電プロジェクト(プロジェクト番号 0998)

<無効化に関する状況>
 国内排出分については国別登録簿の償却口座、海外排出分については国別登録簿の取消口座へ、以下の通りに無効化を実施した。②についてはそれぞれ無効化実施予定である。

①2011年2月14日、2011年7月21日、2011年12月14日
②2012年6月30日、2012年11月30日(共に予定)※

 ※基本的には半年ごとに無効化をするが、①のときには、2010年度環境省カーボン・オフセットモデル事業に採択されていたため、最終報告をする必要があり、2011年1月分のみ無効化を実施した。

<情報サイト>
ITOKI スピーナ カーボン・オフセット キャンペーンサイト

 スピーナチェアのスペシャルサイトに併設されたキャンペーンサイトでは、スピーナ カーボン・オフセットプロジェクトの概要やクレジット情報を提供している。スペシャルサイト内のLINE UPの各ページでは、スピーナチェアの仕様を選びながら各機種のGHG排出量、及びオフセット量が確認できるようになっている。

3.CO2排出削減努力とカーボン・オフセットの内容
CO2排出削減努力
 2項【排出削減努力の実施】に記載したように、イトーキ滋賀工場では次の点に注力してスピーナをはじめとしたチェアを生産している。
・エネルギー監視システムや高効率設備の導入、省エネチェックの実施などにより、環境負荷を極限まで抑える。
・排出される産業廃棄物についてはゼロエミッションを達成している。
 また、スピーナチェアの設計においては、チェアに独自の技術(フロート・ベンディング)を適用し、快適な座り心地を確保しながらもウレタンの使用量を低減させ、環境負荷を抑制している。

カーボン・オフセット
 しかしながら、スピーナの環境負荷はゼロにならないため、オフセット比率100%のカーボン・オフセットを実施することとした。
 お客さまへの「わかりやすさ」を最重要視し、下記の3点を工夫した。
・オフセットはお客さまのもの
購入したチェアがお客さまであるのと同様に、オフセットしたクレジットはお客さまのものとしてイトーキでは各種報告等へ計上していない。

・オフセット比率を100%とし、「カーボン・フットプリント=オフセット量」となるようにした。
カーボン・マイナスや、一脚につき100kgといった曖昧な説明はお客さまに受け入れられにくいと考え、2【バウンダリ】のような複雑なカーボン・フットプリントを集計、計算し、お客さまの共感を得られるようにした。

・お客さまのオフセットの透明性、信頼性を向上させるためにオフセット認証を取得している。
認知度の高いフラッグシップチェアにオフセット認証ラベルを貼付することはラベルの露出度を高め、カーボン・オフセットそのものや、認証制度に関するお客さまや当社社員の理解促進に寄与している。


4.CO2排出削減以外の効果
 クレジットの選定にあたっては、開発途上国で創出されたクレジットを用いることとした。当該国や地域の生活の質向上や雇用の創出などに結びつき、環境貢献をしながら国際援助にも貢献するようなコベネフィット・アプローチの質を重視している。
インド・タミルナードゥ州における風力発電プロジェクト(プロジェクト番号0991)
・インド・タミルナードゥ電力会社の再生可能エネルギー供給への貢献
・幅広い地域におけるインフラ整備
・操業やメンテナンスのために追加雇用
・電力の需要と供給のバランス保持
インド・カルナタカ州NSL27.65MW風力発電プロジェクト(プロジェクト番号 0998)
・温室効果ガスを排出せずにインド・カルナタカ州地域周辺のエネルギー需要に貢献
・発電した電力をカルナタカ電源供給会社へ供給することで、カルナタカ州の電力不足問題を緩和
・化学系のCDMプロジェクトが主流だった2000年近辺より操業し他の先鞭となるプロジェクトに貢献
・農業への従事人口が多い同州において、同発電施設の建設及び操業にかかる運営、保守等近辺住民の雇用を創出


5.普及啓発の効果
 イトーキは法人向けの事務用什器を製造販売しているが、スピーナチェアに限っては個人向けのハイエンドチェアとしても認知度が高い。
 個人向けにはWebサイトやECサイト上でカーボン・オフセット認証ラベルを掲出するなど、カーボン・オフセットの普及を促進した。法人向けにはスピーナのスペシャルサイト、提案書等を通じ、スピーナチェアの取組みについてお客さまへ情報提供している。スピーナは当社ではもっともお客さまの総務担当者へ提案しているチェアであり、実際に販売された以上のカーボン・オフセットへの普及効果があると考えられる。
結果として販売台数は、年間約10,000脚を超え、1脚ごとにカーボン・オフセット認証マークが貼付された状態でお客さまのもとへ届けられた。つまり、カーボン・オフセットマークが購入者のみならず来訪者の目に触れ、採用した企業の環境に対する姿勢を示せるようになったのである。従来の評価ポイントである「すわり心地」や「デザイン性」だけでなく、こうした取り組みもあわせて評価され、採用されている。また、各製品のライフサイクル全体のGHG排出量を算定し、表示することにより、身の回りの製品の製造や廃棄によって、どれだけのGHG排出量が出ているのか実感してもらうことができている。お客さまからは、

・カーボン・オフセットしている点が環境配慮としてよい。(公益法人)

・(全社で環境配慮製品の購買を推進しているので)社内での理解を得られやすかった。(大手電機メーカー)

・(環境配慮商品の導入が目標に入っており)設計サイドとしてお客さまへ薦めやすかった。(設計事務所・PM)

などの声をいただいている。


6.ストーリー性
人にも「気配り」、地球にも「気配り」。
 イトーキのフラッグシップチェア「スピーナ」は、「気配り」という日本の美徳を形にしたチェアとして誕生した。
今までは、座り手が椅子に合わせるために椅子に搭載された各調整機構を操作していたが、このスピーナは椅子が座り手に合わせるという画期的なコンセプトのもとで生まれたチェアである。こうした試みが評価され、グッドデザイン賞金賞(2007)、NeoConイノベーションアワード(2009、世界最大の米国家具見本市)受賞を受賞したほか洞爺湖サミット国際会議(2008)では各国首脳が会議用チェアとして使用された。
 この「気配り」という発想を、さらに視野を広げて地球環境へも「気配り」ができる方策を探った結果が今回のカーボン・オフセットプロジェクトである。

Chair For Future.
 オフセットに用いるクレジットは開発途上国で創出されたCERとした。当該国や地域で実施されているGHG吸収・削減プロジェクトを支援することになり、同時に、プロジェクト実施により新たな雇用の創出や、電力の供給力向上など、生活の基盤を整えることにも貢献している。このようにしてカーボン・オフセット認証ラベル付スピーナチェアは、働きながら未来の地球環境と国際援助の双方に目を向けることができる画期的なタスクチェアとして新生したのである。

 なお、今回の取り組みを契機として、2011年11月に環境ソリューションブランドEcoworkstyle.comを立ち上げ、あんしんプロバイダー制度参加者としてカーボン・オフセットサービスを開始した。自社だけでなく、お客さまへも同様のハイレベルなカーボン・オフセットを支援し、スピーナチェアのような事例が増えるよう、全国で展開している。






CO-Net事務局

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