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第1回カーボン・オフセット大賞エントリー事例
エスパルス エコチャレンジ

応募団体:株式会社 エスパルス

1.応募する活動の名称・タイトル
エスパルス エコチャレンジ


2.活動の概要
<オフセットの分類>
自己活動オフセット

<排出量の事前認識・・算定>
エコTシャツを着用し選手入場 本オフセット企画時に排出量の事前認識を行った時期(2007年12月)には『排出量算定ガイドライン』は発表されておらず、『わが国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)のパブコメ』を参考に試算を行いました。また、当時オフセットを行うに当たりCO2排出量を計算する基礎データが無く、他の競技や他のスタジアムのデータを用いる等して下記の通り類推致しました。

 具体的にはスタジアム照明による排出量は、プロ野球ナイター1試合(4.5h)当たりの電力消費量(31,000kwh/試合、省エネルギーセンター資料より)と想定年間照明時間(30h)により99t-CO2/年と算出。またスタジアムの照明以外(大型映像装置,音響等)の電力消費はカシマスタジアムのデーゲームの電力消費(12,000kwh/試合)から121t‐CO2/年と計算。またゴミ処理の際の排出量については日産スタジアム04年における来場者1人当たりのゴミ排出量(0.1357kg/人)から14t-CO2/年と設定、シャトルバス運行による排出については来場者全てがシャトルバスを利用し、乗車率70%(1台当たり定員の70%乗車する)、シャトルバスの各ルートの距離とバスのCO2排出系数(1.10kg-CO2/台・km)から129t-CO2/年と算出し合計で363t-CO2/年と試算しました。

*当時は事前認識が困難であり上記の想定排出量となりましたが、後述の通り実際の排出量はこれを大幅に下回ることとなりました。

<オフセット対象範囲・・バウンダリ>
清水エスパルスがアウスタ日本平で行うホームゲーム開催(年間約20試合)により排出するCO2量
CO2排出項目2008年排出量
単位:t-C02/年
2009年排出量
単位:t-C02/年
2010年排出量
単位:t-C02/年
①スタジアムの電力消費による排出393432
②スタジアムに残されたゴミ処理等による排出10
③シャトルバス運行による排出232123
④エスパルス指定駐車場への自家用車等での来場による排出287278270
①~④計359342333

*当初の排出量事前認識では①~③でしたが、排出量把握後に④もバウンダリに追加しました。

<排出削減努力の実施>
①節電活動(照明等)及びグリーン電力証書の利用。
②ゴミの持ち帰り運動、分別回収及びリサイクルの徹底。
③シャトルバスのエコドライブ(アイドリングストップ等)運行、CNG車,BDF車の利用。
④シャトルバス利用促進運動。チャレンジウォーキング企画。サポーターへのエコドライブの推奨等。

<取組の実施期間>
2008年~2012年(2012年以降も継続予定)

<クレジットの種類>
CER

<プロジェクト名称>
ブラジル アラプセルインディアナヴァイ小水力プロジェクト (0000530)

<無効化に関する状況>
2008年シーズン無効化(2009年4月:360t-CO2政府償却口座へ移転済)
2009年シーズン無効化(2010年6月:360t-CO2 〃)
2010年シーズン無効化(2012年1月:360t-CO2 〃)  
2011年シーズン無効化(2012年6月(予定):360t-CO2 政府償却口座へ移転予定) 

<情報サイト>
エスパルスエコチャレンジ

3.CO2排出削減努力とカーボン・オフセットの内容
しずおかウィンドパワーエコマッチ 排出削減努力については、エスパルススタッフを始め各関係先(スタジアム、シャトルバス運行会社等)や多くのサポーターにも協力を頂き推進しており、年々削減量が増加しています。
 また本オフセットに関しての拘りとしては、①2008~2012年シーズンまでの5年間の全てのアウスタ日本平でのホームゲーム(エスパルス主催の公式戦)を対象にしていること。②バウンダリを広く取ることと、毎試合排出量を測定すること。③サポーター、スポンサー、地域社会、行政等と広く連携して活動を行うこと。④オフセットだけに留まらず他の環境活動や社会貢献活動への展開を目指すことがあります。
 エスパルスのオフセットは国内のプロスポーツ界で初めての活動でありその先進性を評価頂いていますが、一方で全ホームゲームが対象でありこれだけ長期に渡り継続されているイベントに関するオフセットは極めて少ないこと。(非常に多くの排出がされているにも関わらず)排出量の把握が難しい自家用車による来場による排出もバウンダリに含んでいること。実測に拘っている等オフセットの内容的にも高いレベルにあると考えます。

4.CO2排出削減以外の効果
 カーボン・オフセット活動を核として始まった『エスパルス エコチャレンジ』は様々な所に波及して新たな活動を生んでいます。ここではその代表的な例として校庭、園庭芝生化活動を紹介させて頂きます。発端はまずオフセット活動からエスパルスと静岡県地球温暖化防止活動推進センターの連携が生まれ、サッカーにちなんだオフセット以外の活動展開として「校庭芝生化」に着目し、推進母体としてNPOや企業と共に「しずおか校庭芝生化応援団」を結成しました。 
 エスパルスのホームスタジアムであるアウスタ日本平は、昨シーズンもベストピッチ賞を受賞(4年連続5度目の受賞)しており、練習場(エスパルス三保グラウンド)もアウスタと同種の大変きれいな芝生です。
この練習場の整備作業(コアリング)の際生じる廃材(コア)を利用しポット苗を作り、そのポット苗を学校、幼稚園、保育園の校庭、園庭に植えることで、2~3ヶ月後には土だった校庭、園庭が緑の芝生(しかも日本一のターフの兄弟芝)になるのです。それも僅かな費用(数十万円。従来の芝生化費費用の数十分の1程度)で。ただしこの活動を行うには、①芝生の育成に関する技術的な支援 ②経済的な支援 ③材料及び機材の提供 ④植え付け時等の労力の確保 等様々な課題がありましたが、『エスパルス エコチャレンジ』の中から次々と協力者(NPO,企業,サポーター,市民)が現れ、ついには静岡市が園庭芝生化に関する新たな予算を用意し、2011年には12ヶ所の幼稚園、保育園が芝生化されました。まぎれもなく、オフセット活動が地域の校庭、園庭芝生化の流れを生んだのです。

5.普及啓発の効果
クレジット付きの特製エコうちわ(1口300円、50kg-CO2分のクレジット付) 『エスパルス エコチャレンジ』開始以来、クラブ単体の環境活動だけではなく、サポーターや地域社会等を巻き込むことで新たな流れを作り出せると考え、普及啓蒙活動には積極的に取り組んで来ました。
ここではその代表例を一部紹介致します。

 エコチャレンジについては、全ホームゲームにてスタジアムの大型映像装置での紹介に加え、イヤーブックを始めとするクラブ発行の機関誌等にも掲載しています。更に毎年数試合エコをテーマとした「エコマッチ」を開催し、サポーターにも参加いただく企画を実施しています。
 例えば『エスパルスエコ コラボレーションマッチ2009(アルビレックス新潟戦)』では、「新潟まで届けサッカーボールの道~ちょいエコ宣言~」と題し、「部屋を出るときには明かりを消す等」のサポーターが出来るCO2削減の取り組みをチェックすることで、サッカーボール150万個分のCO2を削減し、静岡から新潟まで約330kmのサッカーボールの道を繋げようとの呼びかけに対し、1000名のサポーター宣言によりCO2削減量はサッカーボール1,150万個に達し、2,500km(北海道から沖縄に相当)の道が繋がりました。また「カーボンオフセット エコバス化計画」では、エスパルス選手が試合の移動などに利用するクラブバス(通称:Sバス)から排出されるCO2(年間15t-CO2)を相殺するクレジット付きの特製エコうちわ(1口300円、50kg-CO2分のクレジット付)を300口販売(40分で完売)することで、Sバスをエコ(オフセット)バス化しました。

エスパルスサポーターの企画参加 『エスパルス エコチャレンジ』が多くのサポーターに浸透していることは、いろいろな所に現れています。例えばサポーター参加企画への参加人数は、チャレンジ25キャンペーン(環境省)と連携した「チャレンジー宣言(1200名)」「節電宣言(1000名)」「スーパークールビズ宣言(2000名)」「スマートムーブ宣言(1000名)」の全ての企画で募集定員を上回るサポーターに参加頂きました。

 またバウンダリの欄に記しましたが年々CO2の排出量が減少していること。更にサポーター有志が試合後に行っているクリーンサポーターズの登録者数が、わずか1年余りで1,112名に達したことから見ても明らかです。

 これまでエスパルスと関係が薄かった環境省、資源エネルギー庁の中央官庁から、静岡県、静岡市などの地元自治体の環境部局及び協議会、更にNPOや企業等からもエコマッチ等での連携のお話を頂ける様になったことからも、『エスパルス エコチャレンジ』が広く社会に認知されていることが伺えます。

6.ストーリー性
 『エスパルス エコチャレンジ』はサッカークラブが取り組む、オフセットを柱とする環境活動であり、CSR活動です。ただしその効果を飛躍的に高めるには、サポーターや地域社会の協力が不可欠でありサポーター等に理解を得られるよう以下の点に重点置き活動を開始しました。
①国内のプロスポーツクラブで初めての取り組みであること。
先例が無く、全てが手探りだが、リスクを恐れず行動に移す。
②クラブ、スポンサー、サポーターの三位一体の活動であること。
クラブがリーダーシップを発揮しつつ、スポンサー、サポーターの参画を促す。
③これまでのクラブの歴史や方針とリンクさせる。
例えばエスパルスはクラブ創設以来の外人選手はブラジル人選手が多く、クレジットもブラジルの再生可能エネルギー導入促進に寄与するプロジェクトを用いることで、ブラジルへの恩返しとの想いをこめました。

 しかしながらこの様に始めたエコチャレンジが、海を渡りブラジルにまで波及したことは、我々にとっても正に想定外の出来事でした。

 きっかけはブラジルの小水力発電事業者からの「サッカークラブがなぜクレジットを購入するのか?」という一言でした。それに対するこちらの回答「次世代に快適にサッカーが出来る環境を引き継ぎたい。その為にクラブとして出来ることをしたい。」に感動したCERAN社から「エスパルスジュニアユースチームをブラジルに招待したい。」との申し出を頂き、2008年8月のサッカー&エコ遠征が実現したのです。その中には日伯100周年記念サッカー大会やインテルナシオナル対フラメンゴの前座試合等のサッカー活動の他、地球温暖化防止セミナーや、小水力発電所の見学等の環境学習も含まれ、最終日には世界的サッカークラブであるインテルナシオナルとの共同会見が行われ「両チームが協力し、サッカーを通じた環境活動を続けていこう。」との約束が交わされました。インテルナシオナル対フラメンゴ前座試合記念写真  
 プロサッカークラブというと多数のスタッフを有しているとのイメージがあるかもしれませんが、実際は1人が何役もこなす中小企業というのが実情です。その中小企業が手探りで始めた活動が地球の裏側まで波及したり、サポーターや地域社会を巻き込み新たな流れを創りだす等、「全てはカーボン・オフセットから始まった。それがまさかここまで広がるとは。」と感じた4年間でした。






CO-Net事務局

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